FKDのWEBマーケティングをツラツラ(マケツラ)

FKDのWEBマーケティングをツラツラ(マケツラ)

WEBマーケティングについてツラツラと書いていきます。

面倒臭がり屋な脳には『伝える事の素因数分解』と『ストーリーテリング』がポイント!(Advertising Week Asiaより。)

脳科学認知科学からマーケティングコミュニケーションを考える。

どうも、fkdです。

マーケティングアジェンダ報告に続き、今回は5月14~17日、東京で3度目の開催を迎えたAdvertising Week Asiaにて面白いセッションがあったのでご紹介します。

Advertising Week Asia 2018 - Tokyo [May 14 - 17]

Advertising weekは“アドバタイジング”と入っていますが、広告だけでなく様々なマーケティング分野のセッションやワークショップが開催されています。

その中で、マーケティングへの脳科学的なアプローチを紹介する内容をピックアップします。

どうぞどうぞ。

『コミュニケーションへの科学的なアプローチ。』

このセッションは3日目5/16の16時から1時間ほど『コミュニケーションへの科学的なアプローチ』と題し、

  • ガイド動画を脳科学的に制作するSimpleshow 吉田さん、
  • 脳科学者の中野さん、
  • 富士通富士通SDGsを促進するためにSimpleshowの動画を活用した金光さん

という3人によって開催されたものです。マーケティングというよりは単純に話がおもしろかったというのが本音です。笑

 

さていきなりですが、以下の4つで、

『どの勧誘の仕方が1番募金金額が集まる』

と思いますか? 読み進める前に考えてみてください。

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  1. 1円でもいいので寄付してください
  2. 100円寄付してください。
  3. あなたの募金が世界を救います。
  4. 目の前の、できることからやろう。

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みなさんは何番だと思いますか?世の中では、2,3の声掛けで募金を促進している光景が大半ですよね。

 

答えは、一番募金が集まったのは1番の『1円訴求』です。理由は、

1円は『わずかな負荷』にあたり、わずかな負担でドーパミン(喜び)を得られる方が脳の満足感が高くなるから、自然と募金しようとする人が増えた

とのこと。100円は「そのお金で他にも何か出来るかも」「勿体ないかも」などなど別の選択を考えてしまうので、脳へ大きな負担となってしまい面倒くさくなってしまう、そんな理由で募金をすることを避けてしまうのです。これ、なるほどなぁーって思いますよね。

この話をベースにして、更に少し分解していきます。

マーケティングにおける脳の役割。

マーケティング×脳において、1番重要なのは上記の募金の例の通り、

何かを決めることは脳への負荷が高い。この“認知負担“によって、苛立ちを覚えさせてしまう、という大前提が基本となる

と、中野先生。理由も明確で、

脳は非常に燃費が悪い部位。小さいのに全体で消費するカロリーや水分の4分の1を使います。だからとにかく人体からしてみると、脳を使わせたくない、とにかく節約させたい。そちらのほうが生物として美しいからです。(中野先生)

認知負担は情報が少なければ少ないほど小さくなり、意思決定がスムーズになったり、ストレスがかからないのでブランドに関する印象が良くなります。

当たり前っちゃ当たり前なのですが、こうして脳科学からのアプローチだとより理解できますよね。

『1円をあげるというくらいシンプル』かつ敷居が低くないと、脳に負担を与え生物的に嫌な印象をもってしまう。

なるべく認知負担を与えず、認知負担を最小限に抑える。これこそ、できる限り情報量は少なく、と言われる所以です。

脳はとにかく効率を重視する。 

繰り返しになりますが、僕達の脳は生物学的にとにかく効率を重視するようにできているので、学習や想像をベースにほとんどのことを補完しているとのこと。

人間の脳は“代理体験“で理解したと思うことに特化している(効率的だから)。

脳が理解するメカニズムで『基本的には他の人に同調したい』というところは昔から変わらない。(中野さん)

なるべく難しい選択したくないとはいえ、 普通の生活は選択の連続です。だから無駄な選択はしないように無意識に省略するプロセスが発達しており、その中の代表が『同調』です。同調すると自分の選択はしなくてよくなりますから。

『実績』や『事例』の訴求がコンバージョンに効くというのは、脳が同調を求めているから、に他ならないのです。

Simpleshowでは、脳に優しい細やかな工夫を凝らした動画を制作。

しかしブランドとしては、難しくてもしっかり説明して選択してもらわないと儲からないし、評価もあがりません。そこで、脳を『だます』アプローチが必要になります。

セッションのモデレーターであるSimpleshowさんは一言で言えば動画制作会社なのですが、上記の脳科学を取り入れた動画を制作しており、非常にロジカルかつ見やすい作品に仕上がっています。

 

富士通さんではSDGsという活動を社内に浸透させるのに苦労していたとき、この脳科学的動画アプローチに取り組み成功しました。

ICTで取り組むSDGs - YouTube

この動画、めちゃくちゃスっと入ってきませんか??富士通さんのSDGsの動画はロジカルながら脳に優しく、難しい内容もスムーズに入ってきます。それには、いくつかの技が込められていました。

素因数分解による最小公倍数の導出(情報量削減)をしないと、シナリオがつまらなくなる。

今までの話をまとめると、要は『情報量削減による効率化』と、『同調による効率化』をユーザーの脳にさせるということ。

限られた時間でメッセージを理解するには、修飾語を使わずに本質を掴むことが大事。言葉も絵もシンプルで本質が重要。(金光さん)

最大公約数だけを抽出し、物語にして届けることが大事で、Simpleshowでは脳に合わせて動画を作っている。(吉田さん)

言い換えると、富士通さんの動画は、最小公倍数は何かという『素因数分解』をする数学的なアプローチと、自分ごと化させる『シナリオライティング』という文系的アプローチの組み合わせ技が抜群にマリアージュしているからわかりやすいのです。

シナリオライティングは結構みなさん意識されているはずですが、肝心な『素因数分解』による要素分解がされていないと、無駄なストーリーが多くなりつまらないシナリオになることが理解されていないケースが多いのではないでしょうか。

校長先生の話のように、何が言いたいのかわからなくなってはいけません。

クリエイティブコントロールストーリーテリングで同調させる。

もちろん情報量削減だけでは伝わらないので、同調させるためのテクニックや工夫もたくさん込められています。

この動画には、さり気ない工夫がたくさん込められている。

・手書き→リラックス効果を出す。

・紙工作→クラフトを制作しそれを撮影。影の付き方や動きで意外性を出す。

・モノクロ→潔いくらいの見やすさを出す。今や白黒の方が目立つ。それに認知をさせるには情報量が少ない方がいい。(吉田さん)

また、基本的に全ての動画は以下のようなフレームワークやポイントで作っているとのこと。

基本の流れ。
  1. 概要の説明
  2. 問題の共有
  3. 理想の提示
  4. ソリューション
  5. 結論、行動喚起
ストーリーテリングやクリエイティブのポイント。
  • 物語︰短い時間で主人公に同調し『自己効力感』を高める。リハビリの現場で使う手法で、これは自分で出来る、と思わなければ出来ないので、その気にさせることが重要。
  • 本物の手︰ミラーニューロンを刺激し、共感を促す。
  • BGM︰ソリューションから曲調をリッチに。感情移入を促す。

こうして書くと当たり前のような、基本的なようにも思えますが、全て忠実に意識して作られている動画はほとんどないでしょう。

非常に参考になると共に、すぐに実践できそうな内容ですね。やらねば。

おまけ。炎上しないためにはオキシトシンを出させろ!

あと、中野先生は炎上しないで有名らしいのですが、それは『遊び心と不謹慎の差は、配慮に尽きる』ということらしいです。
具体的には、中野先生の場合、相手に「オキシトシン」を出させるように配慮しているとのこと。

オキシトシンは『幸せホルモン』と呼ばれていて、分泌されると「生まれてこれてまじハッピー!」と思えるというハッピーなホルモンと言われています。

  • 仲間と思わせる。あなたの側に立っていると思わせる。
  • 温かい気持ちを起こさせる、感動させる。
  • 触覚で感じるのでうまく触れたりする。

上記のようにすることでオキシトシンを発生させる配慮を常にしているとのこと。

恐ろしいけど、かなり参考になりました。オキシトシンマスターになりたい!笑

 

マーケティングをちょっとサイエンスできた気がした1時間でした。

それでは、んちゃ。

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