面倒臭がり屋な脳には『伝える事の素因数分解』と『ストーリーテリング』がポイント!(Advertising Week Asiaより。)
脳科学や認知科学からマーケティングコミュニケーションを考える。
どうも、fkdです。
マーケティングアジェンダ報告に続き、今回は5月14~17日、東京で3度目の開催を迎えたAdvertising Week Asiaにて面白いセッションがあったのでご紹介します。
Advertising Week Asia 2018 - Tokyo [May 14 - 17]
Advertising weekは“アドバタイジング”と入っていますが、広告だけでなく様々なマーケティング分野のセッションやワークショップが開催されています。
その中で、マーケティングへの脳科学的なアプローチを紹介する内容をピックアップします。
どうぞどうぞ。
『コミュニケーションへの科学的なアプローチ。』
このセッションは3日目5/16の16時から1時間ほど『コミュニケーションへの科学的なアプローチ』と題し、
という3人によって開催されたものです。マーケティングというよりは単純に話がおもしろかったというのが本音です。笑
さていきなりですが、以下の4つで、
『どの勧誘の仕方が1番募金金額が集まる』
と思いますか? 読み進める前に考えてみてください。
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- 1円でもいいので寄付してください
- 100円寄付してください。
- あなたの募金が世界を救います。
- 目の前の、できることからやろう。
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みなさんは何番だと思いますか?世の中では、2,3の声掛けで募金を促進している光景が大半ですよね。
答えは、一番募金が集まったのは1番の『1円訴求』です。理由は、
1円は『わずかな負荷』にあたり、わずかな負担でドーパミン(喜び)を得られる方が脳の満足感が高くなるから、自然と募金しようとする人が増えた
とのこと。100円は「そのお金で他にも何か出来るかも」「勿体ないかも」などなど別の選択を考えてしまうので、脳へ大きな負担となってしまい面倒くさくなってしまう、そんな理由で募金をすることを避けてしまうのです。これ、なるほどなぁーって思いますよね。
この話をベースにして、更に少し分解していきます。
マーケティングにおける脳の役割。
マーケティング×脳において、1番重要なのは上記の募金の例の通り、
何かを決めることは脳への負荷が高い。この“認知負担“によって、苛立ちを覚えさせてしまう、という大前提が基本となる
と、中野先生。理由も明確で、
脳は非常に燃費が悪い部位。小さいのに全体で消費するカロリーや水分の4分の1を使います。だからとにかく人体からしてみると、脳を使わせたくない、とにかく節約させたい。そちらのほうが生物として美しいからです。(中野先生)
認知負担は情報が少なければ少ないほど小さくなり、意思決定がスムーズになったり、ストレスがかからないのでブランドに関する印象が良くなります。
当たり前っちゃ当たり前なのですが、こうして脳科学からのアプローチだとより理解できますよね。
『1円をあげるというくらいシンプル』かつ敷居が低くないと、脳に負担を与え生物的に嫌な印象をもってしまう。
なるべく認知負担を与えず、認知負担を最小限に抑える。これこそ、できる限り情報量は少なく、と言われる所以です。
脳はとにかく効率を重視する。
繰り返しになりますが、僕達の脳は生物学的にとにかく効率を重視するようにできているので、学習や想像をベースにほとんどのことを補完しているとのこと。
人間の脳は“代理体験“で理解したと思うことに特化している(効率的だから)。
脳が理解するメカニズムで『基本的には他の人に同調したい』というところは昔から変わらない。(中野さん)
なるべく難しい選択したくないとはいえ、 普通の生活は選択の連続です。だから無駄な選択はしないように無意識に省略するプロセスが発達しており、その中の代表が『同調』です。同調すると自分の選択はしなくてよくなりますから。
『実績』や『事例』の訴求がコンバージョンに効くというのは、脳が同調を求めているから、に他ならないのです。
Simpleshowでは、脳に優しい細やかな工夫を凝らした動画を制作。
しかしブランドとしては、難しくてもしっかり説明して選択してもらわないと儲からないし、評価もあがりません。そこで、脳を『だます』アプローチが必要になります。
セッションのモデレーターであるSimpleshowさんは一言で言えば動画制作会社なのですが、上記の脳科学を取り入れた動画を制作しており、非常にロジカルかつ見やすい作品に仕上がっています。
富士通さんではSDGsという活動を社内に浸透させるのに苦労していたとき、この脳科学的動画アプローチに取り組み成功しました。
この動画、めちゃくちゃスっと入ってきませんか??富士通さんのSDGsの動画はロジカルながら脳に優しく、難しい内容もスムーズに入ってきます。それには、いくつかの技が込められていました。
素因数分解による最小公倍数の導出(情報量削減)をしないと、シナリオがつまらなくなる。
今までの話をまとめると、要は『情報量削減による効率化』と、『同調による効率化』をユーザーの脳にさせるということ。
限られた時間でメッセージを理解するには、修飾語を使わずに本質を掴むことが大事。言葉も絵もシンプルで本質が重要。(金光さん)
最大公約数だけを抽出し、物語にして届けることが大事で、Simpleshowでは脳に合わせて動画を作っている。(吉田さん)
言い換えると、富士通さんの動画は、最小公倍数は何かという『素因数分解』をする数学的なアプローチと、自分ごと化させる『シナリオライティング』という文系的アプローチの組み合わせ技が抜群にマリアージュしているからわかりやすいのです。
シナリオライティングは結構みなさん意識されているはずですが、肝心な『素因数分解』による要素分解がされていないと、無駄なストーリーが多くなりつまらないシナリオになることが理解されていないケースが多いのではないでしょうか。
校長先生の話のように、何が言いたいのかわからなくなってはいけません。
クリエイティブコントロールやストーリーテリングで同調させる。
もちろん情報量削減だけでは伝わらないので、同調させるためのテクニックや工夫もたくさん込められています。
この動画には、さり気ない工夫がたくさん込められている。
・手書き→リラックス効果を出す。
・紙工作→クラフトを制作しそれを撮影。影の付き方や動きで意外性を出す。
・モノクロ→潔いくらいの見やすさを出す。今や白黒の方が目立つ。それに認知をさせるには情報量が少ない方がいい。(吉田さん)
また、基本的に全ての動画は以下のようなフレームワークやポイントで作っているとのこと。
基本の流れ。
- 概要の説明
- 問題の共有
- 理想の提示
- ソリューション
- 結論、行動喚起
ストーリーテリングやクリエイティブのポイント。
- 物語︰短い時間で主人公に同調し『自己効力感』を高める。リハビリの現場で使う手法で、これは自分で出来る、と思わなければ出来ないので、その気にさせることが重要。
- 本物の手︰ミラーニューロンを刺激し、共感を促す。
- BGM︰ソリューションから曲調をリッチに。感情移入を促す。
こうして書くと当たり前のような、基本的なようにも思えますが、全て忠実に意識して作られている動画はほとんどないでしょう。
非常に参考になると共に、すぐに実践できそうな内容ですね。やらねば。
おまけ。炎上しないためにはオキシトシンを出させろ!
あと、中野先生は炎上しないで有名らしいのですが、それは『遊び心と不謹慎の差は、配慮に尽きる』ということらしいです。
具体的には、中野先生の場合、相手に「オキシトシン」を出させるように配慮しているとのこと。
オキシトシンは『幸せホルモン』と呼ばれていて、分泌されると「生まれてこれてまじハッピー!」と思えるというハッピーなホルモンと言われています。
- 仲間と思わせる。あなたの側に立っていると思わせる。
- 温かい気持ちを起こさせる、感動させる。
- 触覚で感じるのでうまく触れたりする。
上記のようにすることでオキシトシンを発生させる配慮を常にしているとのこと。
恐ろしいけど、かなり参考になりました。オキシトシンマスターになりたい!笑
マーケティングをちょっとサイエンスできた気がした1時間でした。
それでは、んちゃ。
マーケティングアジェンダ2018 まとめその2。ブランディングは意味を創り、パーセプションを変えること。
ブランディングは意味を創ること。
どうも、fkdです。
マーケティングアジェンダ2018で学んだ『事業主のマーケターとして必要な3つのスタンス』 - FKDのWEBマーケティングをツラツラ(マケツラ)
この第一弾の記事、お陰様でご好評を頂きまして、PVも1,000を超え、多くの方からご意見・お言葉頂戴しました。ありがとうございます!マーケティングアジェンダの注目の高さも同時に感じました。
さて、今回は初日のブランディングに関するセッションを私なりにまとめます。
ブランディングというのは広告宣伝においてメインのお題になることが多い割に、常にフワフワしていて、なかなか定義づけややり方がわからないものです。
ブランドプロモーション担当にもなりましたので、どう伝えるのかをセッションを通じて僕なりに考えました。
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『愛を叫べ、意味を創れ。』
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というこれまた凄まじい、そうそうたるメンバーのキーノートで、消臭力VSファブリーズのブランディング戦略を実際のマーケティング統括の方から話していただくという、贅沢かつ挑戦的なセッションでした。
本記事は、その中で『意味を創る』という部分にフォーカスしています。
どうぞどうぞ。
人の生活においてルーティーンを作るのは難しい。
まず、ブランドとは、という問いが冒頭ありして、
・お客様との約束
・お客様との意味作り
・お客様との関係値
といったブランドの様々な定義を各マーケターの方々がおっしゃっていましたが、
『生活者の日々の生活に自然に馴染む』のが究極のゴール
というのは共通の考えとしてありました。
そのためにはルーティーンにいかに入り込むのかがポイントになります。入り込み方は、
ルーティーンを変えるための方法は3つ。
1.今あるルーティーンにくっつける
2.今までのルーティーンと入れ替わる
3.全く新しいルーティーンを作る
とまとめてられていました。非常にシンプルでわかりやすいのですが、2,3はもちろん超難しく、1でさえそうそうできるものではない。。
また、消費財や飲食でないうちのようなクレジットカードや保険といった、そもそもルーティーン外のサービスや商材の場合は、ルーティーンに入るのはそもそも困難になります。
競合からシェアを奪うのではなく、意味を創り、パーセプションを変え新しい市場を取りに行くという選択。
そこで、次に考えるのは『今ある市場におけるシェア争い』。
ここからが題名にもある『意味を創れ。』という1番重要(と僕が思う)ポイントに入っていきます。
シェア争いは、
- 競合のシェアをとりにいく
- 新たな市場からとりにいく
という二択があります。しかし、競合のシェアを奪いに行くには、競合の元々の信者もいますし、先の通りルーティーンに入るのは無理ですし、ガチのベネフィット競争やブランドメッセージングの差別化になるため、体力が必要になります。
意外と意識しないのが2の『新たな市場創出』。
もちろん難易度が高いのでなかなかそっちに行けないということはあるのかも知れませんが、そもそも目が向いていないケースが大半です。
実際僕のいるクレジットカード業界でも新たな市場に取りに行った方がよっぽど効率的なのに、競合とのシェア争いに勤しんでしまっている気がします。
ファブリーズはファブリックケアで売り出したが、ある時ホームケアの文脈に変えた。それが転機だった。
上記の通り、ファブリーズは別の市場、つまり別のパーセプション(購買する理由、好きな理由)を創出し、コントロールしたのです。
相手が自分のことを好きになるように、相手の『好き』を自分が有利になるように変えることを考えると、それが市場創造につながる。つまり相手のパーセプションを変えるということ。(伊東さん、富永さん)
と言う話がセッションにあり、まさにこの視点が必要だな、と妙に腑に落ちました。
言い換えると、新たな市場創出をするには、相手の『好き』に無理に合わせないことがコツとなります。
名前を覚えてもらうのが「認知」ではない。名前を覚えてもらう時に、別視点での価値を提供する。
ブランド認知は、社名を連発したりして『そもそも知ってもらう』という認知と、『どういう人かを覚えてもらう』という認知に分かれます。
さらに言うと、どういう人かを覚えてもらう認知はただ覚えてもらうだけでなく、『 相手に好きになってもらうように覚えてもらう』必要があります。当たり前ですが、嫌いと思われてはダメですから。(消臭力のミゲルくんのCMは、認知させつつ好きを実現した、驚異的なCMでした。)
『あ、そういう視点もありだね。』
『そういう視点も入れると、便利や豊かになりそうだね。』
『なんか、よくわからないけどちょっと好きかも。』
と思わせる、と言い換えるとわかりやすいでしょうか。
例えば、僕がいるクレジットカード業界は今ポイントバック戦争。楽天カードがそのパーセプションを作り出し、いまはそのパーセプションで支配されています。
しかし、新たなパーセプションを生み出しつつ、そのメッセージを伝えているのがうちの会社であれば、ブランディングは自然と成功します。
個人的な話ですけど、今の市場に足りていない、新たなパーセプションを広めたいという想いは僕の頭にあったので、このセッションで確信に変わりました。これからカラーの映像を描いていこうかなあ、と考えています。
あと、パーセプション(好きな理由)を創る・変える。それはブランドとして生活を豊かにするという、ひとつの使命であるとも思います。
ちなみに、パーセプションフローモデルは既に確立されていて、ご興味ある方は音部さんのサイトにてご確認ください。
Coup Marketing Company inc. | クー・マーケティング・カンパニー
広告は代償である、という桃源郷に向けて。
広告とは、平凡な商品やサービスを作ってしまったことにたいして、あなたが支払う代償である。
これは2日目のPR TIMESさんのプレゼンテーションにて出てきた言葉で、改めて今の時代に聞くと凄まじく響く言葉ですよね。。
新たなパーセプションを生み出し、それに商品やサービスが載ってくれば広告は最終的に必要無くなります。
本質的であり理想系ではあるのですが、まあ桃源郷過ぎるのでそこを目指しながら頑張ろうと思います。
あと、
好きな理由の10%は因数分解できるが、残りの90%は体系化されていない
という発言がセッション中ありましたが、好きを創るというのは不可解なところもあり、だからこそブランディングというのは面白いのでしょう。
他にもこのセッションは学びがたくさんあったのですが、内容が散らばるのでフォーカスしてライティングさせていただきました。
それでは、んちゃ。
マーケティングアジェンダ2018で学んだ『事業主のマーケターとして必要な3つのスタンス』
マーケティングアジェンダに参加してきました。
どうも、fkdです。
5月9日から12日まで、沖縄にて『マーケティングアジェンダ』という名だたる企業のマーケターが集まるイベントに参加させていただきました。
非常に濃密な4日間で、自分のマーケターとしてのレベルの(低さの)確認と目指すべき方向が明確になった素晴らしいイベントでした。
この熱量の高さはご理解いただきにくいのですが、まあ今まで体験したことのない尋常じゃないマーケティング漬けの日々でした。
補足︰マーケティングアジェンダのざっくりとした内容。
簡単にマーケティングアジェンダについて説明しておきますと、ブランドサミットから派生したナノベーションさんが開催している3日間のマーケターイベントで、
- キーノート
- パートナー(ベンダー)プレゼンテーション
- ネットワーキング
という3つの要素で成り立っています。
マーケティングの約束事やミッションを再確認できる超豪華なキーノート。
毎日深夜まで続き、トイレに並んでいるときですら名刺交換をする程のネットワーキング。
ベンダー・パートナーからの最新事例や技術のプレゼンテーションなどなど。
ブランド側は参加には厳しい審査があり、パートナーは決して安くはない金額を支払い、著名なマーケターたちがわざわざ沖縄に集まってマーケティングのことだけを考えるこのイベント。名実ともにマーケティングイベントの最高峰であると思います。
最終日の振り返りセッションから得た、事業主マーケターとしての3つのスタンス。
さて、2、3回に分けてマーケティングアジェンダの内容をまとめますが、今回は最後のセッションの内容をご紹介させてください。
会の最後のセッションは「振り返りのラップアップセッション」だったのですが、3日間のことがこのラップアップに全て詰まっていました。
正確には、会を通じて言われ続けたことが最後にようやく僕自身整理出来た、というのが正解かもしれませんが。
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『ラップアップセッション』
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という、そうそうたるマーケターによるセッションを、事業主マーケターに必要な3つのスタンスと題して、超訳させていただきました。
発言者の意図と違うところはあるかもしれませんが、受け取り方は人次第ということで。
あと、ベンダーや代理店の方にも参考になる内容だと思いますので、ぜひご覧下さい。
どうぞどうぞ。
(1)『全員レビューによるラーニングと、全員参加によるビジョンクリエイティブの重要さ』
1つ目は『全員参加の重要性』。全員というのは、
- 事業主の担当、
- 役員、
- ベンダー、
- 広告代理店、
- メディア、
などなど含めたプロジェクトに携わる全員です。
施策一つ一つの個別レビューを散発するのではなく、「改善活動自体の継続性」が必要。
キャンペーンは代理店もメンバーも全員でレビューするのがコツ。みんなでラーニングし、喜びや悔しさを分かち合う。(足立さん)
週1回、パートナーや代理店を含めてミーティングし、月1回社長と全員でミーティングしてラーニングしている。社長の言葉もフィルター無しに全員に浸透させる。
信頼を積み上げることが大事。いきなりジャンプしないので、とにかく積み上げる。(田中さん)
こちら、足立さん、田中さんの答えは別の質問の答えだったのですが、両巨匠が同じ内容を話していたのが非常に印象的でした。
私もベンダーさん、代理店さんと一つのチームとして考え勉強会を開くようにしているのですが、全ての結果の報告まではできてませんでした。そういう意味で、ラーニングは半分以下しかできてなかったです。
また、足立さんは「ひとつの施策で20%上がった、という内容は必要ない。継続性や組織の体制というほうが大事」と繰り返しおっしゃっていたのも印象的というか、耳が痛い方が多かったのではないでしょうか。苦笑
そして、この全員参加によるレビューというプロセスは、次の話にもつながります。
『ビジョンクリエイティブ』。その案件をやったあと、家族や友達が、世の中が、どんな風に変化するかをとにかく全員で妄想する。
それもモノクロではなく、カラーで具体化するまで映像化し、その映像がパートナーや代理店を含めて『全員』で共有できると成功できる。共有できないと失敗する。
そして、そうした日々の議論の積み重ねの最後にアイデアのジャンプがある。(田中さん)
全員でレビューするだけでなく、全員でビジョンも作る。それも徹底的に。
- 独立した施策ではだめ。
- 企業、ベンダーが独立して考えてもだめ。
全員が我が事として考えられる土壌を企業が作り、全員で実施することがマーケティングの基本であると実感しました。
マーケティングアジェンダでも『鬼退治をするためのさるきじ犬探し』が最も重要な要素と一貫して言われてましたが、この話で合点がいきました。
1人では考えられることはたかが知れているのです。ベンダーや代理店に、一部の結果しか共有してないことはありませんか?本当の狙いを伝えられるような仲間ですか?ビジョンはみんなで描けていますか?意外とできていない、あえてしていない事業主が多い気がしますが、百害あって一利なしです。私も含めてですが、改めましょう。
(2)『競合・他社実績は見ない。イノベーションが産まれなくなる。』
続いては、実績や競合に対する考え。これも目からウロコでした。
王様ゲームが合コンの必勝法で無くなるように、今日の必勝法は明日の必勝法ではない。
去年やったことや競合でやったことは同じことをやることと同じなので、本能で安心するからと言ってやるべきではない。10球に1球はあたるとおもって、否定しないでチャレンジすること。
上司に去年の成功や競合の事例を聞かれることが多いが、これこそが王様ゲームが古くなっているのに固執しているのと同じ状態。
ちゃんと『それはもう通用しないから新しいことに挑戦することが大事』と伝えることが必要(富永さん)
うちもそうなんですが、事業主はレガシーであればあるほど、やたら実績を求めがち。実績があるというのは本能が求める『安心材料』になることには間違いないですが、既にやっていることを真似するということの証明です。
二番煎じは旨みが少なくなるもの。リスクマネジメントの観点からは正しいのかも知れませんが、『効果は当然1番目よりぐっと下がること』や『2回目も当たるとは限らない』もリスクと捕えることを忘れがちですよね。
考えそのものを一新するとともに、上へ役職者への啓蒙をやっていかなければと思います。そして、上の立場の方は怖がらずに取り組むことを承認して欲しいです。
まずは競合分析や実績を求めることを最小限にすることから始めましょう。そもそも、自信があるのに事例とか実績とかがないと進めないなんて、格好悪いというか本末転倒ですよね。自信があったら、リスクマネジメントはしつつやったりましょう。
(3)『エクストリームの追求』
最後に、面白さの追求の話。
感情にひっかかるようにしないといけない。だから基本的にエクストリームに振り切るようにしている。これだけ情報が多いと、心のどこかにひっかからないと記憶に残らない。
小さなアイデアでも、リスクやコストが低ければとにかくやってみる(富永さん、足立さん)
リスクやコストが少なければ、というところがやはりマーケターとしては当たり前に必須ですが、
このエクストリームの追求というのは僕の場合は、『More fun!!More amazing!!!』という理念に込めていますが、徹底しようと改めて思いました。
感情にひっかからないと、ブランドが生活者の意思決定に影響を及ぼすことはまず無いんですよね。ベネフィット訴求も然り。
気がついたら最後にはめっちゃ小さくまとまってしまい何の面白みもないキャンペーンになっている、なんてことはうちではよくあるのですが、 これはエクストリームに恐怖を抱いてしまい知らず知らずのうちに怖くない方へ誘導してしまうからです。あと、怖くないほうが面倒くさくないんですよね。。
足立さんは『会社の金で色々試せる。失敗しても最悪クビになるだけ。』とおっしゃってましたけど、「エクストリームせず何のインパクトも残せない方がよっぽど恐怖でつまらない」とマーケターや、意思決定者は考えるべきです。だって、無関心ほど怖いものはないですから。
自分の仕事辞書をアップデートせよ。
最後に、富永さんの締めが心に残ったのでご紹介します。
こういうイベントを通じて、自分にとっての気づきを得て、自分の中でのマーケティング仕事辞書が書き換わるきっかけを得た。(富永さん)
この辞書の書き換えという表現がとても好きなのですが、ただセミナーやイベントに参加するのではなく、トップマーケターでさえ日々自分の辞書をアップデートしています。ちなみに富永さんは、今回バージョン2.1からバージョン2.4に一気にアップデートするとのこと。笑
一緒にいった上司も『大事なのはとにかくアウトプットすることだなぁ』と言っていましたが、インプットをまず自分の辞書アップデートにアウトプットすることは最低限の作業です。インプットだけなら誰でもできる。しかし意味がない。
僕もマーケティングアジェンダで辞書のすごい量の書き換えに成功しました。バージョン0.3から0.7くらい?笑
次回、別のセッションまとめに続きます。
#5/17、第2弾公開しました。
マーケティングアジェンダ2018 まとめその2。ブランディングは意味を創り、パーセプションを変えること。 - FKDのWEBマーケティングをツラツラ(マケツラ)
それでは、んちゃ。
『自分探し』じゃなくて『自分捨て』をしよう。
どうも、fkdです。
ちょっと今回は久しぶりにコラム書きます。
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悩んだら、『本当の自分ってなんだろう、自分探しの旅に出る』とか言う人がいる。そんなことを聞くと、いつも思う。自分を探したところで、その先になにがあるのか、と。
そもそも、自分探しで自分とやらが見つかることは、まずない。ということについて、書いてみる。
友人知人には、自分より優れているところが必ずある
僕は『自分らしさがなんぼのもんじゃい』と思う。もちろん、自分は好きだし、友人知人より優れているところもたくさんあると自負している。総合的には楽しい人間だと思い込んでいる。
しかしながら、気心が少しでもしれた友人知人は、大抵僕より優れているところが少なくともひとつ以上は間違いなくある。だから、そこについては自分らしさなんてさっさと捨てて、貪欲に吸収したいと思う。
みなさんも間違いなくそうだ。あなたの友人知人があなたより優れているところは、少なくともひとつ以上は間違いなくある。だから、その点においては、“あなたが思うあなたらしさ”など、はっきり言ってあまり価値のないものだから、さっさと捨ててしまうべきだ。
あなたらしさは、あなた自身は享受できない
友人知人があなたのいいところを見つけ、参考にし、取り入れる。『あなたって、こんなところがあなたらしくていいね。』という言葉にこそ、あなたらしさが存在している。
自分で自分はここが優れている!と思うのはいいのだが、ここが自分らしい!と思っても、他人がそう思ってなければ、頭の中にあるだけの空想だ。
あなたらしさは、あなた以外の友人知人しか享受できない。だから、自分探しの旅に行った瞬間、それは成立していない。インドに行ったって、山に登ったって、そこにあなたらしさを享受してくれる友人知人はいないからだ。
逆もまた然り。あなたがあなたらしさを捨てて、友人知人のいいところを自分に取り入れた瞬間、その“友人知人らしさ”を享受する。自分捨ては、誰かにとっての自分探しになっている。
人間らしさと自分らしさも、違う
もちろん、どうしても譲れないところは守るべきだ。誰にだって不可侵な領域はあるし、何でもかんでも自分を捨てればいいということではない。友人知人より優れていると思うところは死守しなきゃいけない。
ただ、挨拶をきちんとするとか、犯罪はしないとか、人間的に必要な行為は論外。それは自分らしさではなくて、人間らしさだ。自分らしさと、人間らしさを、混同してはいけない。人間らしさは、当然に備えよう。
自分捨ては、生かすこと。
僕は今日も自分捨てをするつもりだ。捨てることは、自分と他人を生かすことだから。
こう考えると理想の自分とは、『少しの自分と、多くの他人』で出来ているのだと思う。自分らしさは、自分の中にあるのではなく、外に存在しているのだろう。
自分探しの旅なんてやめて、まずは自分捨てからやりましょ、という話でした。
それでは、んちゃ。
Web広告担当として目指す『結果の追求』と『More fun!!!More amazing!!!』
Web広告担当になった僕です。
どうも、fkdです。
ちょい前のエントリーにちらっと書いたのですが、2018年度からWeb広告運用のメイン担当にならせていただきました。
一生懸命やってきたし、そうなるように動いてきたので成り行きな訳では無い(はず 笑)。しかし、転職した時、実はWebの広告宣伝担当になりたかったので本当にありがたいと共に『自分はもってるなぁ』と思います。笑
一昔に比べてWeb広告の地位は遥かに向上し、もはやテレビと同じくらいの重要度で語られる(もしくはそれ以上)ようになってきていますので、こんなに大きな企業のメイン担当になれるなんて名誉なことです。
しかしながら、Web広告の運用というのは華やかな印象とは裏腹に、とにかく地味。綿密な計画と心の折れそうな細かい作業こそが重要です。
そこで、初心を忘れぬよう所信表明をしたいのと、代理店さんにも僕の想いをお伝えしやすいようにブログにしたためておきます。(割と普通の内容かもしれないっす)
2つに分けて書きます。
- 結果の追求。
- More fun!!!More amazing!!!
どうぞどうぞ。
1.結果の追求。
うちのWeb広告は、元々運用方針が『クリック偏重』でした。マーケティングとしてはクリックから先、もしくはクリックより前が大事なので、不十分だったと思います。
世の中のWeb広告はというと、少し前までは『CPA偏重』でとにかく獲得効率最大化でしたよね。しかし、それだけだとリーチできる総数が少なくなり、獲得が頭打ちになってしまうことになります。
そこで、いまどきは統合的なマーケティングで、間接効果も可視化した上で、きちんと認知施策もバランス良く配分していく流れになっています。
うちの場合はまず獲得最大化すら手付かずだったので、コンバージョン視点を入れコンバージョンの最大化をしつつも、認知も含めたトータルファネルでのマーケティングを実施しようと考えています。
そのための4つのキーワード。
- All for conversion:とにかく全ての施策でコンバージョンを意識する。(コンバージョン寄りの広告をやればいいというわけではない。)
- scenario delivery:全ての施策を点ではなく線で計画する。これは絶対的にやる。
- Visualize the effect:全ての施策をビジュアライズする。(ただし、ビジュアライズできなくても魅力的な施策は、なるべく擬似的にビジュアライズする。)
- Fast PDCA:上記を高速で回せる体制を作る。ツール、コンサル、人員配置含め。
という4つのキーワードでWeb広告をやります。当たり前のようですが、油断すると忘れがちなポイントですし、忘れなければきっといい結果が待ってるような気がします。
やりすぎないことも意識。
ちなみに、やらないことの定義も重要ですので何個か書きます。
1.『統合的なマーケティング』はそこそこに
マスもデジタルも、オフラインもオンラインも含めたマーケティングまで一緒くたに行くのは時期尚早甚だしいので、今期はそこまで行く気は無いです。もちろん意識はしますが。
2.効果の見える化を追求しすぎない
見える化ばかり気にすると、効果の測りにくいメニューでチャレンジしにくくなります。そして、ビュースルーコンバージョンをいくら増やしたとて、コンバージョン総数が増えなければ何の意味もないです。効果はそこそこの精緻さでよいと定義します。
もうひとつ、僕はちょっと頭でっかちになっていたような気もしていたのがダッシュボード。PDCAのときに絶対完璧なダッシュボードが必要なものだと思い込んでめちゃ調査していたのですが、(もちろん最低限は必要なのですが)うちのPDCA頻度とレベルだとハイスペックは要らないことに気づきました。
レベルとタイミング、つまり身の丈にあったものにしなければ、と思います。(とはいえダッシュボードはきちんとつくりますよ。)
2.More fun!!!More amazing!!!
さて、2点目。これがめちゃ大事というか、僕が担当であるうちは絶対に追求するところ。
結果を追い求めることばかりしてしまうと、途端に広告は『広告らしく』なってしまうと思います。言い換えると、サービス訴求に終始することになってクリエイティブに面白みがなくなる。
もちろん、企業の広告は、企業が儲かるために出稿するので当然にあるべき姿です。しかし、それだけではリーチできる層が限られてしまうし、何よりユーザーも、運用代理店も、僕自身もつまらないです。
デジタルだからこそできる豊かな表現とピンポイントなターゲティングをフル活用すれば、一部の世界にだけど、変化を起こせると信じています。
そして、Web広告の世界は日進月歩で進化と退化を繰り返す世界です。だからこそ、常に新しいことにチャレンジする余剰は必要です。
この『More fun!!!More amazing!!!』のために、約2割弱のリソースを割こうと考えています。『この会社の広告、なんか変わったな。』とふと呟かれる数が、僕の裏KPIです。
2018年度は、粘り強く改革をしていく年。
さて、やりたい方針を書いていきましたが、まだ職務を引き継いだ直後かつ、これから粛々と準備をして、出稿していかなければいけません。
冒頭書いたように、Web広告はとにかく地味な部分をしっかりやっていくことが重要ですし、すぐに結果が出ない部分も多いです。おそらく、2018年度はKPI達成は困難で試行錯誤の連発でしょう。2019年度も含めての一大プロジェクトと認識しています。
このプロジェクトでどこかのセミナーに登壇したろうかな、なんて思ってたりしてます。笑
『なんか、変わったな。』何回も言われたい。ほんまに。
粘り強く取り組んでいこうと思いますので、ぜひこのブログを読んでいただいてるベンダーや代理店の方、マーケターの方などなど、ぜひアドバイスや御協力くださいませ~。
それでは、んちゃ。